光の速さが分からない文部科学大臣

5月26日の衆議院文部科学委員会
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009615920040526022.htm
国会でこんな面白い質疑が行われていたというのは知らなかった。
本題は、小柴博士(ノーベル賞受賞者)と和田博士(ヒトDNA解読の提唱者)を参考人として迎えて国の科学政策を問うものだが、その導入部分の質疑に唖然とした。

○加藤(紘)委員 自民党加藤紘一でございます。
 ...(中略)
 その前に、ちょっと一つ大臣にも御質問したいのですが、小学校の理科の質問なんですけれども、大臣、光というのは速いものでしょうか、どうでしょうか。
○河村国務大臣 窓をあけたら、ぱっともう明るくなっていますから、光にスピードがあるという感じは、私、余り抱いたことがなかったのですが。
 音の速さとかそういうことについては、絶えず音速は何倍であるとかいう意識を持ちましたが、光についての速さという意識を、今先生に言われてみて、持っていなかったなというふうに思いました。
○加藤(紘)委員 なかなか深く考えてお答えになり過ぎているような気がするんですが、...(以下略)

加藤議員は、単に何よりも速い、というような常識的な答えを期待していて、まさか文部科学大臣が光の速さという概念を持っていないとは予想していなかったらしく、苦しいフォローをしている。
この「小学校の理科」の知識もない男が、われわえの次の世代の教育と、この国の科学行政の責任を負っている。 「若者の理科離れ」がよく言われているが、小泉内閣文部科学大臣(慶大商学部卒61歳)が真っ先に理科離れしているわけだ。

 小柴博士が主導したニュートリノ実験はなぜ成功したのに、なぜ和田博士が世界で最初に提唱したヒトDNA解読は日本が欧米の後塵を拝することになってしまったのか、という問題の分析がこの質疑の本題で、その根のひとつが科学行政にあるというのが加藤議員の趣旨らしい。これに対する二人の参考人の応答は大変興味深い。また現在の政府の総合科学技術会議のありかたへの批判をこめた質問を役人がのらりくらりとかわすのもポイントのひとつ。ほかにもWinny開発者逮捕に関する加藤議員のコメントも興味深い。