メール事件で得をした者

事態を収拾するためには辞任も止むを得ないのだろうが、そのために、武部幹事長への資金提供を支持する偽造メールの「仲介者」の証人喚問が立ち消えになってしまったのは実に残念である。誰が何のためにこのような稚拙な偽造メールによる陰謀をたくらんだのか。

得をしたのは誰かを考えてみる。
いわゆる4点セット、「ライブドア」、「耐震偽装」、「米国産牛肉輸入」、「官製談合」の追究が立ち消えになってしまった。それによって誰が得をしたか。
得をしたのは、小泉首相武部幹事長ヒューザーおよび建築業界と所轄の国土交通省、そして官製談合に関係した業界、役所、政治家。

この中で、武部本人の可能性は低いように思う。武部は何らかの形で堀江側から資金提供(合法非合法は別として)受けていたことは間違いないはずで、メールが最初に出てきたときにいかにも自信無げなそぶりを見せていたし、これがきっかけになって本当に何かが出てくる可能性も考えると、そんな危ない橋を渡るとは考えにくい。

 一方、マンション建設業界と関連政治家は、偽造がばれてもばれなくても関心をそらせられるという意味で、どちらに転んでも得。

 小泉も、自分の陣営にいた人物(田中真紀子鈴木宗男など)をスキャンダルによる失脚に追い込んで自分の政治的危機をしのぐという手をたびたびとってきており、武部の失脚も平然と利用するであろうと考えられるので、資格十分。

 官製談合は、巨額の利権が隠れており、表にまったく出てきていない利害関係者がプロットを作った可能性がある。

 これに比べると牛肉問題は、偶発的トラブルで特に深い利権は関わっていないと思われる。
この偽造メールの真相を明らかにすることは、現在の政治の闇を明らかにする上で重要だし、これで甚大な打撃を受けた民主党が先頭に立って解明を進めるべきである。