曽我氏の家族の移住は解決にならない

そもそも、米軍の軍事裁判にかけられる惧れがなかったとしても、ジェンキンス氏は佐渡で暮らすことを望むのだろうか?曽我氏がそれを望んでいるらしいと報じられている。しかし、友人もなく言葉が通じず、いままで住んだこともなく、家族以外に誰とも会話ができないであろうところに、高齢になってから移住したいと思うだろうか。娘たちにしてもそうである。彼女らにとっての母国は紛れもなく北朝鮮だろう。それがどんなにひどい体制下にあり、物質的には貧しくとも、敵国として教えられてきた国に、移りたいと思うだろうか?(このことは田中真紀子がかつて述べたが批判的に報道された。)
もっとも、よい解決法は、曽我氏と娘たちが、自由に日本と北朝鮮を行き来できるようにすることである。例の北朝鮮貨客船で、自由に行き来している在日朝鮮人がたくさんいることが報じられている。同様の待遇で曽我氏や娘を行き来させればよいではないか。

もちろん、このような解決を政府は望んではいない。彼にとっての最大の目標は、曽我氏の個人的幸福の実現でも、自国民の安全でも、国の尊厳や主権でも、経済的繁栄でもなく、「政局」を作り出し、それを主導して権力の座にとどまり続けることだからだ。