ラーメン屋の移動と店の盛衰

阿佐ヶ谷駅北口アーケードを抜けたところに航海屋というラーメン屋がある。あっさりしたしょうゆ味で評判がいいらしが、わたくしにはごくふつう、とりたてて感銘はない。

 駅前には「げんこつや」があり、こちらはこってりとした濃厚な味で、私の好みである。私のしる限りでは、(1)まずパールセンターのかなり駅から離れたピーコックに近いところで始まり、(2)パールセンター中ほど、やや駅に近づき、(3)中杉通り南阿佐ヶ谷阿佐ヶ谷駅の中間付近、(4)現在の駅前、もと芝仁果実店のビル、と移ってきている。だんだんJR駅に近づいているのが、繁盛、出世なのだろうか。店内は必ずしも広くなっておらず、駅前になってから、人の出入りもせわしなく、私の足は逆に遠のいた。

 逆に駅から遠ざかっていく店もある。老舗の和菓子「とらや椿山」は、駅の近くに大きな店舗を構えていたが、今は、パールセンターのずいぶん奥の小さな店になってしまった。ここの柏餅や麩饅頭はなかなかおいいしいのだが、目先の新しい商品開発の上手な「鉢の木」が駅前にあって、だいぶ分が悪かったのだろう。

同様に駅から遠ざかったあげく消滅してしまったのは、呉服屋の「絹屋」である。かなり広い間口の立派な店構えだったが、あまり客ははいっておらず、店にいついている猫の匂いが外まで臭かった。ピーコックの先まで移動して細々とやっていた店舗も閉じた。さらに別のところでやっているのだろうか。